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2008-01-12

「暗み」の魅力

今日は用事で外に出たついでに、本屋さんに立ち寄りました。
良書がないか物色し始めたところ、ピピッとアンテナが立ち、一冊の作品集を発見しました。
またとんでもない本を見つけてしまいました!!
福井利佐さんという切り画家さんの「KI RI GA  RISA FUKUI」。
「切り画家」とは彼女自身が希望する呼び名です。いわゆる切り絵のイメージの持つ温かみとは対照的な作品を作るため、だそうです。

繊細で気の遠くなるような作業の果てに生み出された作品群は、圧倒的な質量感と迫力を持って、見るものに迫ります。
切り絵の有名な作家といえば、滝平二郎さん、藤城清治さんなどがいらっしゃいますが、彼女は幼い頃に彼らの作品に親しみつつも、彼らとも全く違う独自の境地を開いています。
この方の作品世界は、ご自身もおっしゃるとおり、どちらかというと明るいイメージのものではありません。モチーフは、闇の中に浮かび上がる能面や、一輪の菊の花、様々な動物の顔。狐(ネコ科?の動物)が顔に翁の面をかけたインパクトのある作品も。
実在の人をモデルにしたと思われる、笑顔の作品もありますが、その笑顔さえも彼女の手法によって、どこか蔭りを帯びた印象に変わります。人が外に向けて見せる「表の顔」の裏の、別の表情・思いを表現しているように見えます。

この作品集の帯には、彼女の「私は生きている線を描きたい。」という言葉が載っています。
彼女の作り出す作品には全て、暗さと同時に生き生きとした生命力を感じます。とても、これが切り絵だとは思えない表現力。切り絵の新たな世界を開拓した若き作家です。

どうも、私はシンプルで明るいものよりは、こういった「暗み」を感じるモノの方に惹かれるようです。そこに、彼女が言う「生」のようなものがより浮かび上がることを、本能的に感じているのかもしれません。
例えば、能。
蝋燭能や薪能などといった、日本にまだ電灯というものがなかった頃の雰囲気をそのまま味わえる能には、(まだ残念ながら直にこの目で見たことはないのですが)とりわけ惹かれます。
暗闇の中に浮かび上がる増女の白い面はますます白くろうたけて見え、箔を施した衣裳は翻るたびに炎の灯りを受けてちらちらと煌めき、印象を強く脳裏に残します。
能と闇とは、切り離せない関係です。

それから、人間で言うと、歌手、女優の「中島美嘉」さん。
この方は、デビュー当時から、私が密かに好きだった方で、(映画「NANA」は観にいきませんでしたが)この方のイメージもまた、エキセントリックで「蔭」があり、同時に個性が強くインパクトがあります。個人的に、一度見て忘れられない印象の人でした。この方が福井さんと組んで様々な仕事をなさっているとは、今回初めて知りました。彼女も、福井さんの作品を絶賛しています。

さらには、このブログでリンクを貼らせていただいている「rika okubo」さんの写真作品も、似た印象を受けます。闇の扱い方がとても素晴らしい方です。
他にも、私が京都の寺や町家、文化に惹かれて引っ越したことや、骨董品など長い時が刻まれたモノが好きで集めたがるところ、谷崎の「陰影礼讃」を愛読するところも、感性の同じ部分が働いているのかもしれません。

夜になっても明かりの消えない都会で、昼間がずっと続いていくような環境に慣らされてしまって久しい私たちですが、だからこそ反動のようにあえて「暗み」「闇」に興味を持つ人は、実はけっこういらっしゃるのではないでしょうか。
こないだは、ニュースで、都内のあるカフェを取材していましたが、そのカフェは、夜は電気をつけず、蝋燭の灯りをともして楽しんでもらうという趣旨のお店だそうです。
中は若者で満員。お客さんの声を聞くと、「落ち着く」「ほっとする」という意見ばかりでした。

大昔、私達の先祖は、夜になると蝋燭や炎の灯りの下で夜を過ごしていました。闇は恐ろしいものであった(魔物や敵が潜んでいる、という恐怖)と同時に、避けて通れない世界、あえていえば身近な親しいものでもあったに違いないと思います。
闇への恐怖が、昔の人々の想像力をかきたてたという話を聞いたことがあります。霊や妖怪など、目には見えないものへの想像力、畏怖の念も、そこから生まれたものでしょう。
隅々までさんさんと光で照らし出された世界には、人の想像力の入り込む余地がありません。
代わりにあるのは、安心感。でもそこに、「生の実感」があるかと問われれば、そうとも言えないと思います。

生の実感と想像力とは、切り離せないものだと私は感じています。
私が「闇」や「暗み」に惹かれるのは、実生活を営む自分のどこかで、無意識のうちにバランスを取ろうとする思いが働いてのことかもしれません。1200126925_567471 1200126961_568701 1200128507_627001 1200126984_569781 1200126944_568051 1200127001_570461

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コメント

どもー!
見ない間に記事書きまくりですね!

あんずの胸にできたポチは
きっと、kurimomoさんの寂しさのポチッだったんじゃない?

って、ご主人頑張ってるね!
俺とは違う分野で仕事してるけど
心の中では応援しています(^^

そんな事より
今は一人なんだね~
チャンスだ!!!夜這いに行かなくては!

投稿: 満蔵 | 2008-01-13 01:19

満蔵さん<<

明けましておめでとうございます!!
またまた無事でよかったです(笑)
ご家族、momoちゃん共々、お元気でしたか。

あんず、寂しさが伝染したのかあ!気付かなかった。ごめんよお。。。

旦那への励まし、伝えておきます!
すでにバリバリ働いてますよー。
生き生きとして、すっかり別人。

夜這い!
旦那も、東京にいるワルイ友人(←コヤツはほんとに悪いです(笑))に、似たよーな冗談言われてましたよ。

投稿: kurimomo | 2008-01-13 09:47

夜這い、いけませーん!!
(ハハ。。。)

すっごい精巧な作品ですね。
気の遠くなるような、緻密な作業…
芸術ってこういうのを言うんでしょうね。
話は、変わりますが、山口百恵さん、美女と言われて久しいですが、彼女の右半分と左半分の顔は違うそうです。
どちらが陰か忘れてしまいましたが、半分が陰、半分が陽の顔をしているそうです。
そして、グラフィックでそのまま、陰を二倍、陽を二倍にした顔を作ったのですが、どちらも魅力半減。
陰と陽が両方入っていて始めて美人になるそうです。
光と影、どちらもないと、美は生まれないのかもしれませんね。
ふと、思い出しました…

投稿: たっつみぃ | 2008-01-13 12:59

たっつみぃさん<<

えー!!
山口百恵さん、ファンです!!
彼女のことを、ちょうどこの文の中に書こうと思っていて、うっかり忘れていたので、すっごい偶然です!!ありがとうです~☆

そうなんですか。。。陰と陽!!
それは深いお話です。
私も自分の顔が、左右でアンバランス(まさに陰と陽ほど、印象が違います。)なのを知っているので、鏡を垂直におでこに当てて、どちらの顔がよくなるか、やってみました。
結果は、やはり今のままがよかったんです。

光と影と両方あってこそ。。。
この世の全てに、それが当てはまるのかもしれませんね。
ブッダの言葉みたいですが、この世のものに、無駄なものなど何一つない、と。
まさに、「山川草木悉皆成仏」です~!

投稿: kurimomo | 2008-01-13 13:34

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